岩田大河(大阪学院大高2年)
団体戦は関西チームが通算26アンダーで圧勝
個人戦男女優勝者を出すなど、関西チームが圧勝した。第1ラウンドを終えた段階では通算4アンダーで2位中部チームに14打差をつけた。
最終ラウンドは9ホールになったものの、各選手が好スコアを連発。男子(パー35)では、岩田の4アンダー31を筆頭に、8人中6人のスコアを取っても最低がパープレー35だった。
女子も松原、八木涼風(すずか、箕面自由学園中3年)の3アンダー33のほか、
6人目のスコアが1アンダー35。男女各6人のスコア合計がなんと22アンダーという驚異的な数字を残した。
男子主将の砂川公佑(滝川二高3年)は「チームワークが発揮できました。高3は僕1人なんですけど、言うことをとてもよく聞く後輩たちで、進んで何でもやってくれた」と感謝した。
ホテルでも集まっては作戦を練るなど、
団体戦としてまとまっていた。女子主将の松原は「男子と同じ。他の大会では話すこともあまりないライバルたちと、団結して楽しめました。
食事中にぎやかでよかった」と、こちらもチームワークを発揮した。
関西チームは関西高校ゴルフ選手権の上位7人と、同中学の優勝者の男女各8人でチームを構成した。
オリンピックの年に、全員が優勝の「金メダル」を授与された。「大事にしたい」(砂川)「学校に持っていって自慢します」
(松原)と、いつもとは一味違う優勝の気分を味わった。
2位に入った中国チーム。第1ラウンドではスコアを崩し選手が多く通算10オーバーで、関西チームの14打差をつけられた。最終ラウンド9ホールでは、男子では
最年少の久常のがんばり、女子では渋野日向子(岡山作陽高3年)が4アンダー32をマークするなど、あきらめずに追いかけ、男女12人で12アンダー、通算2アンダーと第1ラウンドの借金をハーフで取り返し、意地のアンダーパー
フィニッシュ。
沖田悠輔主将(広島国際学院高3年)は「トップがちょっと行き過ぎでした。悔しいです。個人戦と違ってライバルとチームを組んだのですが、仲はいいので楽しめました。でも、メダルがほしかった。来年は後輩
たちにぜひメダルを取ってほしい」と、話した。
優勝候補の一角だった関東チームは、九州、東北チームと3位争いを展開し、通算6オーバーで3位を確保した。
女子の山口すず夏(共立二高1年)が最終ラウンドで4アンダーをマークし、個人5位に浮上するなど、各選手が追い上げ
を見せたが、本来の力を発揮できなかった。
「全員、いいパフォーマンスをできなかった。関西が仲間といつもグータッチしたり、声を掛け合ったりしているのを見ると、チームワークの差があったのかと感じました。力の差はないと思う」
と、男子主将の今野匠(ルネサンス高3年)。
女子主将の臼井麗香(日本ウェルネス高3年)は「みんな仲がいいんですけど、スコアのまとまりがなかった。最終ラウンドはよかったんですけど」。
大会前、男子はラーメンと餃子、女子はしゃぶしゃぶ食べ放題で決起集会を開いたが、実らなかった。
PGAとして初めてのジュニア大会で、地区対抗戦という新しい団体戦の形を提示した今大会。倉本昌弘会長は「第1回なので不備があったのはご容赦いただきたい。いま米国などで同じユニホームでチームとして戦うゴルフの団体戦が
見直されている。甲子園のような学校対抗戦を地域対抗戦として、団体戦を主として始めた。みんなで力を合わせる。みんなでスキルアップする。人を思いやる。
団体戦のよさを感じて、社会に出るための取り組みの1つ」と位置づけている。
台風の影響で短縮にはなったものの、PGA、日本高等学校ゴルフ連盟が手を結んだ第1回大会は、選手たちにとって心に残る大会になった。
男子個人は関西チームの岩田大河(大阪学院大高2年)と、中国チームの久常涼(津山東中2年)が2人の優勝
男子個人は関西チームの岩田大河(大阪学院大高2年)と、中国チームの久常涼(津山東中2年)が通算5アンダー101で並んでプレーオフに突入した。
2ホール目の18番の第2打でともに8メートルほどに乗せた後、雷雲が近づいてきたため中断。そのまま2人の優勝となった。
岩田は団体と個人の2冠。第1ラウンドを1アンダー70で終えて、最終ラウンドに向かう際は「ショットはよかったので後はパットが入れば何とかなると思っていた。
あまり気にせずあかんかったら仕方ないと思って出ました。手が動いていなかったので、ボールの近くに立つように変えてみた」という10番パー5(534ヤード)でいきなりOKにつけてバーディー。
12、13、15、16番で3メートル前後をすべて沈めるなど5バーディー、1ボギーの31で回り、一気に首位でホールアウトした。
久常は第1ラウンドを3アンダーで終えた。「ショートアイアンの調子がよかった」といい、最終ラウンドは10番で第2打をグリーンオーバーしたが、1・5メートルに寄せてバーディーを奪うなど3バーディー、1ボギーの34で回って岩田に追いついた。
プレーオフ1ホール目の10番では先に久常が8メートルのバーディーを決められず。ピン下4メートルにつけていた岩田は「入ったと思ったんですけど」と振り返るようにカップ寸前で左に切れてカップにけられた。
「負けたと思った」という久常は、続く18番で会心のティーショット。ともに280ヤードに飛距離を誇るが、岩田をオーバードライブした。このころから遠く鳴っていた雷鳴が近づいてくる気配に。
第2打をともにグリーンした時点で雷の音も大きくなり、中断のホーンが鳴らされた。回復の見込みがないため、そのまま中止となり、2人で優勝を分けあった。
「残念ですけど、団体が取れてうれしい。最近優勝もなかったのでよかった。今回はチーム戦メーンで回った。(個人戦は)その責任感が出たのがよかったのかもしれないです」と岩田は笑顔を見せた。
久常は「(中止になって)よかったのか、悪かったのかわかりませんけど、優勝はうれしいです。団体も勝ちたかった。第1ラウンドで差が開いたので、とにかくバーディーをとりにいった」と、ともに団体戦に気持ちが向いていたことが個人のスコアにつながったようだ。
女子個人は関西チームの松原由美(大阪学院大高3年)が第1回大会の優勝者に輝く
女子個人は関西チームの松原由美(大阪学院大高3年)が第1回大会の優勝者に輝いた。
第1ラウンドの残りを10番グリーン上から再開して3アンダー68をマークした。「同じ組の子(小倉彩愛=中国チーム)がよかった(67)けど、あまり意識しないようにやりました」という最終ラウンドは、2番で4メートルを沈め、5番では50センチ、4番パー3(297ヤード)では8番アイアンで「入りかけました」と20センチにつける連続バーディーで小倉を突き放し、通算6アンダー101で逆転勝ちした。
JGAナショナルチームには2012年後期から入っている実力者。「ゴルフでは団体戦があまりない。いつもライバルの選手と一緒になって優勝を意識してやったのがよかった」と、団体戦効果があったよう。
今大会では「ラッキー-もあったけど、もったいないこともあってプラスマイナスゼロの感じのゴルフでした。マネジメントがよくないからチャンスをものにできない。もっと完璧なゴルフを目指したい」と意欲的だ。
高校3年生で、翌年はプロテストを受ける予定。「すばらしい大会に出させてもらって、この結果は励みになります」と、日本ジュニア12-14歳の部連覇(12、13年)はじめ、数々のタイトルを手にしてきた逸材は、次のステージを目指す。